【Tarzan】
太らない生活に変えていく、食にまつわるコツいろいろ。


無理をしない、そしてストレスのかからないダイエットを前までのページで紹介してきた。ここからは、食に関する、ちょっとしたコツを記していきたい。 たとえば、食事をする時間で太りやすさが違うとか、太らない食材の選び方。はたまた、確実に減量できる無理のないダイエット法までを探っていく。 もちろん、これをすべて頭に入れて、行ってほしいとは言わない。そんなことをすれば、絶対にダイエットは失敗する。 〝しなくてはならない〟という思考は必ずや破綻、そして挫折を生むのである。だから、まずは知識として頭の中に入れておくだけでいい。 そしてた、何となくやってみたい、続けられそうと思っことを実践する。 取材させていただいたのは、管理栄養士・貴堂明世さん。 これを読んで自分の食事改善のヒントが見つかれば、それだけで痩身へと繫がっていくだろう。少しずつ食を変えていってほしい。

カラダが飢餓を感じないよう、朝食をしっかりと食べよう。

「朝は食べない」。こんな人はけっこういるのではないか。でも、食事は1日3食必ず食べてもらいたい。 カラダは飢餓感を覚えると、それに対応しようと積極的に脂肪を蓄積し始めてしまう。そればかりか、筋肉も削ぎ落としてエネルギーに変えようとするのだ。 かくして、筋力は落ちて、基礎代謝も落ち、ますます痩せにくくなる。絶食系ダイエットでのリバウンドの原因のひとつだ。 朝を抜くというのは、前日の夜9時に夕食を食べたとしても、なんと15時間も絶食するということになる。 だから、朝食を食べることは、ぜひ習慣にしてほしい。また、朝の食事は前述した時計遺伝子のリセットにも一役買ってくれるのだ。 食事の量は朝:昼:夕で3:4:3が理想。昼が多いのは、夕食までに時間が長く空くからだ。ただ、夜にしっかりと食べたいと思う人も多いだろう。 そんな人は3:3:4程度までなら大丈夫と考えてほしい。

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飲み物を変えるだけで、摂取エネルギーは変わるのだ。

甘みたっぷりの清涼飲料水や缶コーヒーは非常にハイカロリー。下の囲みを見ていただければわかるが、ストレートの紅茶と比べると40倍以上のカロリーになる。 もし、これらの飲料をいつも飲んでいるなら、考えたほうがいい。水や茶に変えるだけで、1日の摂取エネルギーは格段に下がるのだ。 また、これらの飲料の甘味には、果糖が使われていることが多い。果糖はすばやく吸収されて、多くが肝臓で中性脂肪へと作り変えられる。 血液中に流れ込んで、血糖となり、運動のためのエネルギーとして使われることが少ないのだ。つまり、太りやすい糖質と言うことができる。 また、カロリーゼロの飲料を飲む人もいるが、実は100㎖当たり5キロカロリー以下ならこの表示をすることができる。実際には0ではない。 やはり、ストレートの紅茶にはかなわないのだ。だからといって、これらの飲料を飲むなと言うわけではない。嗜好品として、少量を楽しむ程度にしてほしい。

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血糖を緩やかに上昇させる。そんな食品を選んで食べたい。

満腹中枢、摂食中枢の入れ替わりには血中の糖、すなわち血糖の量が大きく影響する。では、これをダイエットに利用できないだろうか。 実はできるのだ。その前にちょっとお勉強。血糖は消化吸収された糖が血液に流れ込むことで量が増える。そして、吸収の速度によって流れ込む量が変わってくる。 たとえば、糖が速く吸収される食材を食べると、血糖値は急激に上昇する。と、糖を各細胞へ取り込むことを促すインスリンが、これまた大量に分泌される。 その結果、血糖は一気に細胞へと送られ、すぐに少なくなってしまうのだ。血糖が少なくなると、摂食中枢が優位になり、空腹感を覚えるようになる。 一方、糖がゆっくりと吸収される食材は血糖値が緩やかに上昇し、インスリンの分泌も穏やかになる。 すると、糖は長い時間をかけて各細胞に送られるので、その間は空腹感を覚えることがない。 つまり、血糖値がゆっくりと上がり、ゆっくりと減っていくような食材を選べば、食欲を抑えることができるのだ。

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おやつは淡泊な味の和菓子を水分とともに。

昼食から夕食までは、長い時間が空くので、おやつに手が伸びる人も多いのではないか。 それ自体は悪いことではないが、味の濃い食べ物は後を引くということを覚えておいてほしい。 何となく止まらなくなってしまうのだ。だから、できれば濃い味ではなく淡泊なモノを選んだほうがいい。 もし、味が濃いおやつしかない場合は、お茶などの水分を十分に摂って、味を洗い流し、食べ続けてしまうのを防ごう。
また、ケーキや洋菓子などはバターがたっぷり使われていて、非常にカロリーが高いので、ダイエット時には食べないようにする。 おやつにするといいのは、低カロリーの和菓子。これなら味も濃くないので、たくさん食べたくなるということもないはずだ。 また、小腹が空いたときには、時間をかけてアメを舐めるのも一つの手。糖をゆっくりと体内へと送り、緩やかに血糖を上昇させてやる。そうすれば、夕食まで空腹を抑えられるはずだ。

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まずは野菜から食べる。痩せるために習慣にしよう。

食事を摂るときにいきなり飯に肉料理ではなく、野菜から食べることを習慣にするといい。 その理由は2つ。まず、野菜は嵩(かさ)が多いのにカロリーが低い。これを最初に食べることで胃のスペースをある程度埋めることができるのだ。 つまり、その後のメイン料理を食べる量を減らせるというわけ。もうひとつは、野菜に含まれる食物繊維の働きだ。 食物繊維は、胃の中で水分を含んで膨らむのだが、このとき脂肪や糖も一緒に吸着してくれる。そして、そのまま小腸、大腸を通過して便として排泄される。
そう、余分なカロリーをカラダの外へと運び出してくれるのである。また、糖のカラダへの吸収を穏やかにもしてくれる。 そのため血糖の上昇を抑えられるし、糖が脂肪になりにくくなる。 昔はカラダにとって不必要なモノと考えられていた食物繊維だが、今はその重要性が解明され始めていて、第6の栄養素とも言われている。 食事では、まずコレをたっぷり摂っておくことが、ダイエットを成功させるコツなのだ。

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取材・文/鈴木一朗 取材協力/貴堂明世(管理栄養士)