【Tarzan】野菜の実力を理解して、 350gの目標をクリアしよう!


「カラダ作りのために課しているルールは?」という100人アンケートの栄えある1位は「野菜を摂る」。が、ところでその目的はなぜなのか?本当の理由と、さらには確実に摂る方法まで、おいしいとこ取りでお届けしましょう!


食べ応えがあるからダイエットに最適!

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以前、本誌でリバウンド特集を組んだ際に幾度となくリバウンドを繰り返しているというある芸人さんに話を伺う機会があった。そのインタビュー中、彼が終始こんなことを口にしていたのを思い出した。
「とにかく野菜を食べるのが面倒くさい。口の中がわしゃわしゃと忙しくって、味もない。なぜ食べなきゃいけないのか、教えてほしい」と。
野菜を摂ることを苦としない人であれば耳を疑うようだが、この彼のように野菜に対して未だ〝?〟な部分を抱えている人も少なくない。そんな人に理由もなく「野菜を摂りましょう」と言っても、なんのこっちゃというハナシ。
そこでまずは野菜がダイエットに効く、というお話からしていこう。
野菜には〝かさ〟があり、かつエネルギーが少ないというメリットがある。つまり、食べる量が少なくても満腹感が得られ、それでいて摂取しているカロリーは低いため痩せやすい、というわけ。たとえば朝食にトマト1個を丸かじり、間食に冷えたキュウリを1本食べる、というだけでも結構お腹は膨れたりする。
ダイエットに効くもうひとつの理由は、野菜の食物繊維が便通を促し、その結果ぽっこりお腹を緩和するということ。水分をたっぷり含んだ食物繊維は消化されにくく、腸の蠕動運動によりゆっくりと小腸から大腸に運ばれる。この活発な蠕動運動が、便秘の改善に繫がるのだ。食物繊維が多く含まれる食べ物は、ゴボウやニンジンなどの根菜類を中心とした野菜のほか、きのこ、芋、海藻などがこれに当たる。


タンパク質だけがカラダの材料じゃない。

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ちょっと走っただけで息が上がるし、以前にも増して疲れやすくなったみたい。どうしてだろう、まさかこれって歳のせい!? と、年齢による体力低下を疑う前に、まずはビタミンが不足していないかどうかを見直してみてほしい。
ヒトの細胞や皮膚、筋肉を作る材料としてタンパク質が欠かせないというのはご存じの方も多いはず。このタンパク質を体内で合成するのに、モロヘイヤや大豆に多く含まれるビタミンB群が不可欠なのである。
たとえばランニングを行うときは、脂肪がTCAサイクルという代謝のシステムを経てエネルギーに変わっていくのだが、ビタミンB群にはこのサイクルの流れを円滑にしてくれる役割がある。特に補酵素の成分として糖質をエネルギーに変えるビタミンB₁、アミノ酸・脂質・炭水化物の代謝に必要とされるビタミンB₂は意識して摂りたい栄養素だ。ちなみにビタミンは体内でほとんど合成ができないため、外から補うしか方法はないということを覚えておこう。
カラダの機能を正常に保つことができる、ミネラルにも注目したい。糖質、脂質、タンパク質、ビタミンと並んで5大栄養素のひとつであるミネラルは骨や歯などの硬い組織や、その他の軟組織を形成する。摂りすぎるとカラダに害を与えるというデメリットもあるが、野菜から補える量は限られているため心配無用。
健康的なカラダを作るには野菜のビタミンとミネラルが必須だということ、お分かりいただけました?


朝食を抜かなければ、350ℊはラクにクリアできる。

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ニッポン人の平均野菜摂取量は350gの目標値に達していない。その平均値は1日286.5g。70g弱不足している計算。惜しいような惜しくないような、微妙な数字だ。
で、よくよく考えてみると、その原因は朝食の欠食にありそうなのだ。管理栄養士の貴堂明世さんによれば、
「20〜30代、とくに男性の朝の欠食率がとても高くなっています。350gを2回の食事で消化するのは難しくても、3回に分ければ決して無理なことではありません。そのためにも朝食でひと皿の野菜メニューを補えば、野菜不足は解決するはず」
お母さんが朝ご飯を用意してくれていた10代の頃、男性でも欠食率は12%そこそこ。それが20歳を越えて社会人になると、ひとり暮らしゆえのズボラのせいか一気に3割弱という数値に跳ね上がる。
朝食の欠食は、すなわち野菜補給のチャンスを1回分逃しているということ。即、悔い改めよ。


これって野菜?350ℊに入るもの、入らないもの。

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カラダのために1日350gの野菜を食べましょうというけれど、厳密にいうと〝野菜〟と〝その他の野菜〟。そもそも今現在食べているものがそれらに当てはまるかどうか、あなたは自信を持って答えられるだろうか。
色が緑っぽいっていうだけで野菜と判断していないか? 畑で穫れるものは何でも野菜と思っちゃいないか?
実際、野菜と思って食べていたものがそうではなく、その逆のケースもまたある。厚生労働省、農林水産省ではそれぞれ野菜の定義が微妙に異なるので、イマイチ判然とせず。
ひとつ参考となるのが、女子栄養大学が提唱している四群点数法。これは、食品を4つのグループに分けて、まんべんなく食べましょうという食事法。第一群は乳製品・卵、第二群は魚介や豆類、第三群は野菜、第四群は穀類・油脂・砂糖となる。
これに準ずれば、第一群にも二群にも四群にも属さないものは何はともあれひとまず野菜とカウントしてもよさそう。


取材・文/黒澤祐美、石飛カノ 撮影/小川朋央、石原敦志
スタイリスト/高島聖子 取材協力/貴堂明世(管理栄養士) イラストレーション/浅野文彦、越井 隆