【Tarzan】何をいつ、どう摂る? 正しい間食の基本講座。


3度の食事方法も、トレーニング方法もわかった。じゃあ、間食はどうすればいい?
世界水泳でアスリートも実践した間食方法を導入し、運動効果を高めよう。

間食って甘いものを食べていいの?

間食=甘食ではありません。

3食の間に摂るものといえば、真っ先に頭に浮かぶのはスイーツやスナック菓子などのオヤツだが、補食はオヤツではない。「そう誤解する選手も多いので〝カンショクといっても甘食ではなく、間食ですよ〟と最初に釘を刺しました(笑)」(管理栄養士で味の素KKビクトリープロジェクトの鈴木晴香さん)。
仕事の休憩時間にチョコレートなどのオヤツを口にすると、ほっこりするリラックス効果があって心の栄養になってくれるけれど、カラダに対してはカロリー以外は栄養素に乏しいエンプティカロリーの代表格。甘食では栄養バランスの改善につながらない。そればかりか砂糖やブドウ糖のように血糖値を急激に上げる甘味料が多く入っていると、摂った糖質は体脂肪に変わって太りやすくなるし、洋菓子のように脂質が多いと一層体脂肪がつきやすくなる。
補食の狙いはベストな体組成を保ちながらコンディションを高め、最高のパフォーマンスを発揮すること。補食=甘いものという誤解を捨てよう。
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食間で空腹だと脂肪が燃えているんでしょ?

筋肉も分解されています。

間食=甘食と誤解すると太りやすいが、アスリート仕様の補食で摂るのは後述するようにアミノ酸やタンパク質などの低カロリーで太りにくい栄養素。きちんと摂るとむしろ肥満を防ぐ働きがある。なぜなら、筋肉の無駄な分解が抑えられるからだ。
筋肉を作るタンパク質はつねにアミノ酸に分解されて、アミノ酸をまたタンパク質に合成することを繰り返している。食間で空腹を感じる間は足りないエネルギーを賄うために体脂肪の分解が進んでしまうし、筋肉の分解が合成を上回り、アミノ酸の一部はエネルギーとして消費される。アミノ酸は新陳代謝のプロセスで再利用されているが、リサイクル率は100%ではないため、補食でアミノ酸やタンパク質を補わないと筋肉が減少。筋肉は基礎代謝に影響を与えるから、筋肉が減ると代謝が下がって太りやすくなる。
食間には、筋肉のエネルギー源として蓄えられたグリコーゲン(糖質)も減るから、補食では糖質の補給もお忘れなく。

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間食に最適の栄養素は?

アミノ酸です。パウダーやジェルも利用してください。

補食で優先したい栄養素の筆頭に挙げられるのはアミノ酸。アミノ酸はタンパク質の構成成分として知られるが、それ以外にもさまざまな機能を持つ。
たとえば、運動前の食間に摂るバリン、ロイシン、イソロイシンのBCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉のタンパク質の分解を抑えて、筋肉の持久力を維持する。BCAAは体内で合成されない必須アミノ酸である。
同じく運動前に摂るアラニンやプロリンは、血糖値を保って持続的にエネルギーを供給してくれる。アミノ酸ごとに働きは異なっているので(左表参照)、複数のアミノ酸を組み合わせたサプリメントを摂取するのが効率的である。
アミノ酸サプリは使い分けも大切。ドリンク、パウダー、ジェルと多様なタイプがある。もっとも高濃度のアミノ酸が摂れるのは、パウダータイプ。ドリンクは運動の合間に水分補給しながらアミノ酸が手軽に摂れるし、ジェルタイプなら同時にエネルギーも摂取できる。状況に応じて賢く使おう。
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外食ばかりで栄養バランスが心配です。

コンビニで賢く捕食してください。

自炊がいいのはわかっているけれど、忙しいと自炊の機会が減って外食が増えてくる。すると栄養バランスが整いにくいが、そんなときに頼りになるのが、コンビニ。24時間好きなときに行けるから使い勝手抜群だが、かといって小腹を満たすためにおにぎりや菓子パン、カップ麺を食べては何にもならない。外食の内容に合わせて足りない栄養素をカバーするために、主菜や副菜、果物、牛乳・乳製品を補うのである。
たとえば、朝食がパンとコーヒーだけでは主菜も副菜も足りない。そこで缶詰やレジ横のホットスナックから主菜、サラダやパック惣菜から野菜、海藻類、きのこ類を使った副菜を補ってやる。あるいはお昼が牛丼やカツ丼のような丼物で、主食と主菜は摂れていても副菜が少ない場合には、サラダやパック惣菜から副菜、果物を調達したい。ビジネスパーソンの3食でありがちな食事パターンとコンビニを使った改善法を表にまとめておいたので参考にしてほしい。

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間食でカロリー過多になりませんか?

低カロリーで機能性の高いものを摂ります。

間食=甘食は過食への一本道で太りやすくなるが、スマートな補食は食べすぎを回避してスリムになる近道でもある。
食事の間隔が空きすぎて空腹感が募ってくると、久しぶりに食べる次の食事で爆食しがち。しかもお腹がペコペコのときは、冷や奴や野菜サラダといったあっさり系のおかずではなく、揚げ物や炒め物などの脂っこいがっつり系のおかずを食べたくなる。補食をしておくと空腹感が満たされるので、がつがつと過食に走ったり、高カロリーの脂っこいおかずを口にしたりしなくなり、結果的に3食+補食のトータルの摂取カロリーが抑えられる可能性が高いのである。
一歩進んで間食で重点を置きたいのは、カロリーと機能性のバランスである。爆食の抑制作用が期待できるといっても、補食自体が高カロリーでは何にもならないし、栄養素に乏しいエンプティカロリーでは摂る意義が薄れてしまう。栄養バランスに優れた低カロリーのエネルギー系ジェルやサプリメントをうまく使って取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 イラストレーション/小山 健 
取材協力/栗原秀文(味の素KKビクトリープロジェクト)、鈴木晴香(味の素KKビクトリープロジェクト、管理栄養士)
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取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 イラストレーション/小山 健 
取材協力/栗原秀文(味の素KKビクトリープロジェクト)、鈴木晴香(味の素KKビクトリープロジェクト、管理栄養士)