【Tarzan】
人によってどうして違う? 夏痩せ、夏太りのメカニズム。


夏になると、なぜだか痩せる(太る)……。どうして? 問題は? 疑問に答えます。

【Q】夏痩せや夏太りになるのはなぜ?(38歳・男性・PR)
【A】胃腸が主な原因。夏太りはとくに注意が必要。

夏痩せ、夏太りになるのは、どうやら胃腸が主な原因らしい。夏痩せになるのは、もともと痩せている人が多く、夏太りになる人は、太った人が多い。 痩せた人は胃腸の機能がそれほど丈夫ではない。そのため、高温や高湿度に晒されて、自律神経の働きが狂うと、機能低下を起こし、食欲が低下してしまうのだ。 一方、太った人の胃腸は頑健なので、夏になってもまったく食欲が落ちないどころか、さらに増してしまう。
実は、夏痩せはそれほど心配しなくていい。このあと夏痩せに関する質問に答えているが、このタイプは秋になれば体重が戻るから大丈夫なのだ。心配なのは夏太り。 秋になっても体重が落ちることはないので、1年をサイクルとしてどんどん太ってしまうことになる(冗談ではない!)。 今、歯止めをかけないと、将来、生活習慣病になってしまう恐れもあるのだ。どうしたら、夏痩せ、夏太りを軽減できるか、これから探っていくことにしよう。

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【Q】食欲はいつもと同じなのに、夏は太ってしまいます。どうして?(42歳・男性・SE)
【A】偏食によって溜めこみ体質になってない?

他の季節と変わらない食欲で、摂取カロリーも同じ。だから、太らないという考えは間違い。夏太りになる人にはひとつの傾向がある。 夏になると、偏食が激しくなるのである。スタミナをつけようと、肉やうなぎなどを食べる機会が増えていくのだ。夏太り派のアナタ、覚えがあるでしょ? 実は、この偏食にこそ、夏太りの原因が潜んでいるのである。
スタミナ系の食事を食べ続けていると、必然的にミネラルやビタミンをたっぷりと含んだ野菜を食べることが疎かになる。 これらの栄養素はヒトの代謝と深い関わりを持っていて、少なくなるとエネルギーをうまく使えなくなってしまうのである。 必然的に使われなくなったエネルギーは脂肪として蓄積される。ミネラル、ビタミンの不足で溜めこみ体質になってしまうわけだ。 だから、同じカロリーを摂取しても、太ってしまうのである。夏だからこそ食べたいのは、スタミナ系より野菜なのだ。

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【Q】毎年夏に痩せる。どこまで痩せるとヤバイの?(23歳・男性・研究)
【A】2~3㎏痩せたぐらいで、心配しないこと。

最初に話したように、夏痩せはそれほど気にしなくていい。10㎏も痩せたら、それは何か病気を抱えているかもしれないから、医師に相談を。 しかし、標準的な成人で2~3㎏程度だったら、ほとんど心配しないでいいのである。 それより、夏痩せになる人で心配なのが、気質的に神経質になりやすいということ。食べなくてはいけないという強迫観念に苛まれてしまうことなのだ。
食べなくてはならないという強い思いから、スタミナのつく料理を選んでみたり、腹が減っていないのに無理に食べてみたり。 こうなると、ますます胃腸の機能は低下し、夏痩せに拍車をかけてしまう。食べないでいいというぐらいの気持ちでいたい。 なぜなら、ヒトのカラダは足りないものは欲するようにできているからだ。また、消化のいいものを食べるようにする。 うどんや雑炊、スープ、ヨーグルトなど。胃腸にできるだけ負担をかけないようにしたい。

【Q】どうしても冷たいものに手が伸びてしまう。
   コレってあんまりよくないコトでしょうか?(33歳・男性・教員)
【A】せめて1品、温かいものを摂る習慣をつける。

冷たいものは、夏には欠かせないが、夏痩せする人にとってはちょっとやっかいだ。アイスやジュースなど冷たいものを食べたり、飲んだりすると、胃や腸の血管は一気に収縮する。
すると、当然のことだが血流が悪くなり、働きが低下してしまうのである。消化液の分泌量も少なくなるから、消化するのに時間がかかったり、消化不良を起こしたりもする。 これが繰り返されることで胃腸は疲弊し、腹痛や下痢となる。
これを回避するには、まず氷を使うのをやめること。冷蔵庫で冷やしたものであれば、またわざわざ氷を入れる必要はない。外で飲む場合も「氷を入れないで」と頼めばよい。 さらに、1食に1品は温かいものを食べる、あるいは飲むようにする。居酒屋で冷や奴、枝豆、冷しゃぶ、締めに冷やしうどんというのはダメ。せめて、温かいうどんに。 味噌汁や茶の1杯でもいい。夏だからこそ、温かいものを摂る習慣をつけよう。

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取材・文/鈴木一朗 撮影/山城健朗 監修/稲次潤子(藤沢市保健医療センター)、福田千晶(医学博士)