【Tarzan】ツラーいメニューを持続させるためのやる気キープ法。


ハードなメニューを一人で続ける今回の特集。やる気を維持するには?
最初に厳しいことを言っておこう。もし、あなたが〝鍛造〟というキーワードに惹かれたならば、生半可な気持ちでそれを実現することは不可能と思ってほしい。
どんな体力レベルであれ、一回一回のトレーニングでオールアウトを目指すのだ。無理せずに1日5分のウォーキングから始めてくださ〜
い♡ってわけにはいかない。
「キツいトレーニングを乗り越えるためには、モチベーションが必要です。それをキープする方法を知らないと高い山は越えられません。やり通せる自信がないという人は、まずこのページから読んでください」(中野ジェームズ修一さん)
自信もモチベーションもないまま、なんとなくだら〜っとトレーニングを始めても長続きはしない。
これがもし、パーソナルトレーナーの指導を受けていたとしたら、それなりのカラダづくりはできるだろう。設定された日時に半強制的にトレーニングに行かねばならないし、挫けそうになってもトレーナーがアメとムチで上手に誘導してくれる。それなりのお金もかかっているので、やり通さねばもったいないという心理も働く。
ところが、自宅で一人でトレーニングをするという場合、そうはいかない。やる気がない日はサボりたいという誘惑に簡単に負けそうになるし、負けたら負けたで激しい自己嫌悪にとらわれる。各時点でいちいち親身になってサポートしてくれる相手がいるわけでなし。
かくて、今回もカラダに変化が表れるはるか以前にトレーニング頓挫、というハメに。モチベーション維持には気力でなく技術が必要。
そんな怠惰な自分がイヤになっちゃう、と思う必要はないと中野さん。怠惰なのではなく、ただモチベーションを維持する技術を知らないだけなのだ、と。
「こちらの何気ないひと言でクライアントの方がやる気を起こす。パーソナルトレーナーをやっていて一番楽しいのは、そういうひと言を言う機会がたくさんあるからです」
その中野さんが今回、実際のパーソナルトレーニングの現場で培った数々の技術をお悩み別に紹介してくれるという。これまで続かなかった理由は、実は事前の計画不足だったり、単に自分自身の思い込みにあったということがストンと腑に落ちるかも。プッシュアップに挑む前に、まずご一読を。


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アドバイス! 具体的なビジョンを抱いて、「動因」と「誘因」を結びつける。
人をやる気にさせるためには、ふたつの要素が必要です。ひとつは「動因」、もうひとつが「誘因」。動因はその人が持っている欲求や願望。それらを叶えるための方法が誘因です。このふたつが結びつくことを「モチベート」されたと言います。
『ターザン』を買った時点ですでに第1のモチベートは完了しています。次は自分がどういうカラダになりたいかという具体的な目標を持ちましょう。基礎的な筋力をつけたいのか、メリハリのあるカラダを作りたいのか、特定の部位にしっかり筋肉を盛りたいのか。
それを決めたら誘因となるトレーニングを1回でもいいからやってみる。これで第2のモチベートは達成されます。あとはトレーニング期間を設定すれば継続は可能です。


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アドバイス! できることからコツコツと。成功体験を地道に積み上げていく。
野心的なタイプAに対して、タイプBは健全な前向き性格、タイプCはクヨクヨ思い悩む性格と分類されています。
トレーニングでこんなにオールアウトしているのに、あまり効果が見られない。だから、自分は仕事も人間関係も何につけダメなんだと思い込んでしまう人は、タイプCの可能性があります。
このタイプは、小さな成功体験をコツコツ積み上げていく方がうまくいきます。目標レベルを下げて70%くらいできる見込みのあるプログラムから始める。誰かと一緒にトレーニングをする。誰かに褒めてもらうといったことも有効です。SNSで「いいね!」ボタンを押してもらうだけでも、モチベーションの維持に繫がっていくはず。


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全部やること=成功ではない。0と1の間の中間の選択肢を持つ。
自分でやると決めたにもかかわらず、いざトレーニングをする日になるとなぜか気分が憂鬱になるという人は少なくありません。なぜ憂鬱になるかというと、決められたプログラムを全部やらなければならない、と思うからです。
8種目のプログラムがあったとして、そのうちの3種目だけやって終わりにするのもOK。もし、1種目も行えなかったら失敗体験ですけれど、3種目だけやったら0.4くらいの成功体験になります。そういう選択肢を持つことで、精神的にずいぶん楽になるはずです。
0か1かという考え方をせず、中間の0.3、0.5でもやっておけば次のステップに進むことができます。半分やって成功という選択肢もあるのです。


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週2のトレーニング計画に、ふたつの選択肢を用意しておく。
これも前項の0か1かというオール・オア・ナッシングの考え方にとらわれている証拠です。
たとえば今週は水曜と土曜にトレーニングをしようと決めます。水曜日はクリアしたけれど土曜日はできなかった。それで、もう効果が出ないのではないか、とそれを境に頻度がどんどん落ちていく。というのはよくあるケースです。
これは、計画の段階で水曜と土曜という選択肢しか作っていないから。水曜と土曜をAパターンとして、もしできなかったらBパターンの水曜と日曜にやるという2種類の選択肢を用意しておきましょう。もし土曜日にできなくても、次の日にやると決めていたわけですから、失敗体験にはなりません、ココロが萎えることもないはずです。


取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 イラストレーション/ICHIRAKU(岡村亮太)