超回復に重要なのがオフの日。筋肉を修復し、筋肥大に結びつけるTO DOをじっくり研究だ。

トレーニング翌日も気合のタンパク質食を。

週2回、超回復を狙ってトレーニングを始めた。トレーニングする日はメチャメチャストイック。タンパク質食材とプロテインをバクバク喰らって、筋肉の材料となる血中アミノ酸をキープ。
でもその他の週5日間は、好きなものを食べて、楽しく暮らしています。これならストレスフリーだし、トレーニングも長続きしそう。え、今日食べたもの? 菓子パンにラーメンに卵かけごはん?
いや、何度でも言おう。筋肉へのアミノ酸の取り込みは、トレーニング後48時間後まで旺盛に行われている。なのでトレーニング翌日はオフ日といえども、トレーニング当日同様、しっかりタンパク質を補給する必要がある。
月曜と水曜をトレーニング日と決めたなら、月から木までアミノ酸の取り込みは刻一刻続いている。菓子パンでなく肉まん、ラーメンならチャーシューメン、卵かけごはんは親子丼にシフトして、タンパク質を補充し続けるべし。

たった一度の欠食が、筋肉の分解を招くのだ。

トレーニングの翌日だけではない。確実に超回復を狙うのであれば、すべてのオフ日で食事自体を規則正しく摂ることは大前提。
なぜなら、食事を抜くことで筋肉はたちまち分解モードに突入してしまうからだ。それがただ一度の欠食でもである。
というわけで、1日3度のメシは絶対に欠かさないこと。3食しっかりタンパク質のおかずと主食の炭水化物、野菜の副菜もバランスよく食べる。食事と食事の間が長く空きすぎるとやはりタンパク分解が起こるので、6時間以上食事の時間が空くときは、間食の茹で卵やチーズなどでつなぐ工夫を。
タンパク分解は目に見えず、体感もできずとも常に起こる可能性があるということ、お忘れなく。

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オフ日とはいえ、低糖質食は断固NG。

どうせ筋肥大するならば、ついでに痩せてモテ体型を目指しちゃえ。手っ取り早いのはやっぱ糖質制限ダイエット? トレーニング日はしょうがない、筋肥大にはインスリンが不可欠だそうだから糖質を摂るとして、オフ日はごはん、麺、パンなどの主食を極力減らしてみたらどうかしらん。
もしかしたら、筋トレとダイエットの同時並行を企む、そんな強者もいるかもしれない。
確かに体重は減るでしょうとも。ただし、減っているのは体脂肪だけでなく、トレーニング日にせっせと作っているはずの筋肉。その可能性は極めて高い。
エネルギーの糖質が不足すれば、カラダは容赦なく筋タンパクを分解して補充しようとする。筋タンパクは合成と分解を繰り返し、動的平衡を保っているようなもの。少しでも合成、分解のスイッチを押すきっかけがあれば速やかにどちらかに傾く。糖質オフは分解のスイッチを押すこと間違いなし。

必須タンパク質量から栄養戦略を練る。

今さらだが、いっぱしのトレーニーを標榜するなら1日の総タンパク質摂取量を把握しておく必要がある。一般人に必要なタンパク質量は、体重1㎏につき約1g。筋肥大を狙うのであればさらに上乗せして、1.2〜1.4gは確保するのがギョーカイ(?)の常識だ。体重65㎏とすると、1日78〜91gのタンパク質を摂る必要があるということ。この数値を確実にクリアせねば、せっかくのトレーニングが水の泡。ちなみに豚肉しょうが焼きに含まれるタンパク質は1人前で約30g。
もし、あなたが月・水・金のトレーニング計画を立てたとしたら、月から土までの6日間はこの栄養戦略を引き続き行っていく覚悟でいてほしい。

ケガをしちゃった! こんなときは…片腕、片脚だけでも鍛錬を怠るべからず。

うっかり転んで床に手をついた拍子に右腕を痛めてしまった! 不用意に蹴つまずいて左足首をぐりんと捻ってしまった! ああもうこれでしばらく筋トレができない。超回復、一巻の終わり……。
こうしたケガを境に長いオフに入ろうかというあなた。ひとつ朗報がある。腕と脚に関しては、どちらか一方を鍛えれば、動かしていない反対側の腕や脚の筋力も多少アップするのだという。
筋力を発揮する際、大脳の運動野から出た指令は脊髄経由で運動神経から骨格筋に伝わる。動かすのが右側か左側かに関係なく、大脳は同様に興奮する。よって片側を鍛えれば逆側もトレーニングの恩恵を受けられるのだ。ケガの際は地道に反対側の筋肉の鍛錬を。

筋損傷や筋肉痛予防のお助けウェアを活用。

着圧加工が施されているコンプレッションウェアの中には、運動後の疲労回復効果を狙ったアイテムがある。
トレーニングで筋肉の損傷が起こった場合、運動直後の損傷を一次損傷という。この時点ではカラダに痛みを感じることはあまりない。ところが、一晩寝て翌朝起きたら死ぬほどの筋肉痛にびっくり仰天、なんて覚えは誰にでもあるだろう。これが時間をかけて局所的に起こる二次損傷だ。
二次損傷は、抗炎症サイトカインのインターロイキンやヒスタミンなどの発痛物質が一部の筋肉周辺に留まり続けることで起こる。コンプレッションウェアは、その圧力で炎症を促進したり発痛を促す物質を押し流してくれるのだ。
今日はハードにトレーニングしちゃったな、という日はこうしたウェアを着て寝るだけで、翌日の筋肉の損傷や痛みが防げるというデータもある。超回復をサポートするツールとして利用してみては。

運動後のオフ日こそ、積極的にウォーキング。

せっかくのオフ日だもの。今日は自分へのご褒美とばかりにネトゲしながらぐだぐだ家で過ごしていたら、カラダがどんどんだるくなってきたような。しっかり休んだはずなのにナゼ?
その原因は、超回復に不可欠なホルモン分泌を促してくれるありがたい代謝物が、いつまでもカラダの中に居座っているせい。ぐだぐだゴロゴロほぼ不動の姿勢で一日過ごしていれば、当然、血流は滞ったまま。代謝物はじっとその場を動かない。結果、筋肉の超回復は望めたとしても、疲れの回復は見込めないというわけだ。
そこでオフの日こそ、外に出かけて30分から1時間のウォーキング。脚の筋肉のポンプ作用で全身の血流が促され、代謝物はキレイさっぱり除去される。
前項の疲労回復コンプレッションウェアを利用すればなおよし。ウォーキングのポンプ作用とウェアによる圧力のダブル効果でより血流はぐるんぐるん。

ぬるめのお湯に最低20分は浸かる。

ワールドカップで大層盛り上がったラグビーは、壮絶な練習内容をクリアしなければ勝てないスポーツのひとつ。
大学のある強豪チームの選手たちは、練習後、まず冷水に全身を浸けて筋肉の炎症を抑え、続いて15度の冷水と30数度のぬるま湯との交替浴を行うのだという。冷・温の交互の刺激を連続的に繰り返すことで血管の収縮を促し、筋肉の代謝物や炎症を促す物質を取り除くためだ。彼らのカラダは日々の超回復ケアで維持されている。
ま、一般人はここまでやらなくてもいいにしろ、入浴はやはり血流を促してさまざまな代謝物を押し流すには有効な方法だ。この際、あの手この手の血行促進メソッドはすべて導入するべし。
面倒くさいからとシャワーだけで済ますのは厳禁。トレーニング当日はもちろんのこと、オフ日もしっかり浴槽に浸かる習慣をつけよう。38〜39度程度のお湯に最低でも20分、というのが目安。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/ヒラノトシユキ 取材協力/後藤一成(立命館大学スポーツ健康科学部 准教授)