【Tarzan】ラン! 持久系競技の鬼トレ道場。


数々の耐久レースを勝ち抜いたスペシャリストたちによる実践的鬼トレ。その内容とは?


フル&長距離レースもこれで完走! 街中鬼トレ。

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2003年のスパルタスロン(走行距離246㎞!)6位、2004年24時間走アジア選手権2位など世界各地のウルトラマラソンで活躍し、指導者としても多くの市民ランナーを好成績に導いている岩本能史さん。フルマラソンの何倍もの距離のレースで世界のトップレベルに立つために、文字通り鬼のような練習法を自らに課してきたという。
「一周2〜3㎞の公園を何十周もして55㎞走ったり、静岡の掛川から東京まで、約250㎞の距離を3日間で走破したり……。誰もやらない、常識外れの練習じゃないと成し遂げられなかったんです」
さすがに市民ランナーレベルでそのメニューをこなすのは無理がある。
しかし、あなたがフルマラソンで記録更新したければ、距離を重ねるだけの練習法ではダメなのだ。
「距離走だけを長年やっていると必ず伸び悩みや走ること自体に飽きる時期が来ると思うんです。距離走をベースにしつつ、間に高強度のポイント練習をプラスする。これでランナーとしての能力を格段に高められるはずです」

岩本さんが提案するメニューは4つ。
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こうして列挙しただけでもキツそうな内容。まさに鬼トレだ。
「ウルトラにしてもフルにしても、マラソンという競技自体にマゾヒスト的要素がありますが、それが高じると〝辛そうだけど楽しい!〟というテンションに変わります。ここで挙げたメニューもその感覚を呼び覚ますための一環。たとえば毎月第1週の週末には必ずプチ峠走をやる、などと決めておくことでキツい練習がモチベーションを高めるものに変わるんです」
フルマラソンの経験も増え、ランニング歴が長くなるほど、普通にジョギングするだけでは刺激を得られなくなってくる。そこでこの鬼トレがいいスパイスになるのだ。この4つのメニューを行うことで月間走行距離が減る可能性も出てくるかもしれないが、岩本さんはそれでも構わないと話す。
「月間走行距離の半分が距離走、半分が鬼トレ的ポイント練習。これがランナーとしての伸びしろを作る理想の練習だと考えています。サブ4やサブ3.5といったレベルまでは、量を積み重ねる練習で到達できますが、そこから伸び悩むランナーが本当に多い。いかに内容をアレンジしていくか、常に考えましょう」
もちろん、ここで紹介する鬼トレは超長距離ランの練習にも効果的。あとは実践あるのみ、だ。

取材・文/黒田 創 撮影/石原敦志