【Tarzan】痩せたいなら、短くコツコツ! 脂肪返済は分割が一番早い。


いざ走ろうと決心すると頑張りすぎて挫折。気楽に短い距離を何回も! を心がけよう。

週1でキープ、週2でカラダは変わる!

有酸素運動のなかでもランニングはとくに減量効果が高いけれど、一体どのくらいの頻度で行うのがベストなのだろうか。
頻度を増やすほど走る時間と距離が長くなり、それだけ多くのカロリーと体脂肪を消費する。でも、ランは筋トレと比べると低負荷なトレーニングではあるにしろ、1歩ごとに体重の2〜3倍の着地衝撃が加わる。まだ太っているうちはショックも大きいので、疲労をきちんと回復させてから次のトレーニングに取り組むべき。一度走ったら2〜3日間隔を空け、週2〜3回走るとカラダへのダメージが少なく、やせランが続けやすい。
週2〜3回のやせランには運動時に体脂肪を燃やすだけでなく、日頃から体脂肪を消費しやすい体質になることも期待できる。週2回未満、つまり週1回だと体質改善作用が得られないので、やせランの有り難みも半減する。けれど、目標体重を達成したら、週1回に減らしても大丈夫。体重を維持するなら週1回軽く走ればOKだ。

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まずは着替える、それが重要だ。

週2〜3回のランが理想だとしても、厚労省によると日本には1回30分以上、週2回以上、1年以上運動を継続する人は3人に1人ほど。3人に2人は週2回も運動できていないのだ。いくら痩せたいという強い意欲があっても、太っている人は多かれ少なかれ運動が得意ではないのだから、運動習慣ゼロからいきなり週2回以上走るのが難しい人も少なくない。そこでランニングコーチの牧野仁さんがビギナーに勧めるのは、ランニング用のウェアとシューズに着替えて自宅から出る習慣付け。
運動嫌いには、スポーツウェアに着替えて自宅を出るだけでもハードルが高い。脳は急激な変化を嫌うから、まずは着替えて外に出るという行動をひたすら続けるのだ。「三日坊主タイプは初めの3週間は着替えて毎日5分だけ外に出て歩くと決めるだけでもランの習慣付けにつながる」(牧野さん)。外でカラダを動かして汗をかくことに抵抗感がなくなれば、ランも生活に取り入れやすいに違いない。

走り方を変えれば飽きることなく、頻度が増やせる。

毎日同じものを食べると好物でも飽きるが、運動も同じことを続けると退屈に感じる。飽きるとメンタル面に響いて継続への意欲が落ちるが、走るペース、時間、距離などの内容を少し変えると飽きないで頻度が増やしやすい。
加えて前述のようにランを続けると体脂肪を燃やしやすい体質に変化するが、同じトレーニングばかりだとカラダが慣れて体質が変わりにくい。シリアスランナーはハードに追い込むポイント練習と走力を維持するつなぎ練習を使い分けるが、やせランも毎度漫然と走らないで強弱をつけた方が新鮮な刺激が入り、体質改善がスムーズに進んで減量効果は高まる。走ることに抵抗がなくなったら、週1回はポイント練習として普段と違ったトレーニングを取り入れよう。「一定の間隔でペースを上げるビルドアップ走を行ったり、あえてアップダウンのあるコースを走ったりすると走力が高まり、痩せやすくなります」(ランニングコーチの白方健一さん)。

回数の分割がおトク!その仕組みを知ろう。

カードの支払いは1回払いがおトクだが、やせランは1度で済ませないで分割して頻度を増やした方が断然おトクで痩せやすい。
走行距離が同じなら、どんなペースでも消費カロリーは同じ。週トータル10㎞走るなら、1回で済ませても、3回に分けて走っても燃えるカロリーは変わらない。頻度を増やして分割した方が1回に走る距離は減るから、カラダへの負担が少なく初心者にはラク。
さらに頻度が増えるほど、やせラン効果は高くなる。キーワードはEPOC(エポック)。「運動後過剰酸素消費量」という英文の頭文字を並べたものである。
トレーニング中は酸素を使ってエネルギー源を代謝するが、運動後半日くらいは筋肉を回復させるために酸素が安静時より多く必要になる。これがエポック。その間は代謝が亢進しており、体脂肪が燃えやすい体内環境が続く。頻度を増やすほどエポックの恩恵が得られるから、体脂肪退治に最適。ラクなうえに痩せやすいのだから、頻度を増やさない手はないのだ。

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取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 イラストレーション/死後くん 
取材協力/牧野 仁(Japanマラソンクラブ代表)、白方健一(トップギア代表)