【Tarzan】
サプリに負けない実力を世界も注目。噂の「スーパーフード」 最新カタログ


利点は特定の栄養素が突出して多いこと。天然のサプリを日常食に取り入れよう。

いま料理の世界に黒船が到来しつつある。それは、欧米のセレブが夢中になっているスーパーフードだ。そう言われても、「何のこと?」。よほどの早耳でなければ、そう思うのが普通だろう。ぴんとこなかった人は下の表を見てほしい。これは代表的なスーパーフード、スピルリナを例にとった食品栄養表示。だが、注目すべきは比較に用いた元の重量だ。このスピルリナは粉末だから、液体として単純比較はできないが、5gといえばせいぜい小さじ1杯。
かたや緑黄色野菜、淡色野菜は少なからぬ食べ応えの量。わずか5gでもスピルリナには遜色ない栄養素が凝縮されている。
そうなのだ。まだ定義は確立されていないものの、スーパーフードとは人体に有用な栄養成分がバランスよく含まれつつも、特定の栄養素が突出して多いものを指す。
耳慣れない新顔の食材ばかりではなく、写真に見える赤い実、ゴジベリーは中華料理ではおなじみのクコの実だ。実は身近なところにもスーパーフードはあるのだ。

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身構えて料理ではなく、ちょい足しも可。日持ちするものが多く、常備がお勧めだ。

サプリなら食事どきに水で飲むだけだから、買いさえすれば誰でも習慣化できるが、いくら栄養面で優れていても料理となると、ちとハードルが高いかなと思う。フードと聞いた途端、そう身構えるオトコは少なくないだろう。
だが、そこは心配ご無用。白米に混ぜて炊くだけ。スープやドリンクに混ぜるだけ。持ち帰り惣菜に乗せるだけ。下準備の必要なものでも、せいぜい水で戻す程度。基本的には日々口にしている料理にちょい足し程度でオッケーだから、不器用なオトコでも大丈夫。実はスーパーフードは使いやすい。
また、ほとんどのスーパーフードは乾物だったり、粉末だったりで、保存性も高いので、忙しくて毎日は料理できない人にもぴったりだ。料理間隔が空いてしまったばかりに、せっかく買った野菜をダメにしてしまったなどという苦い経験は誰しもあるだろう。
こんな悩みから解放してくれるのもスーパーフード。あなたの生活にも天然のサプリを取り入れて、食事の価値をさらに高めよう!

spirulina / スピルリナ

赤身肉にも勝る優秀なタンパク源で、特有の抗酸化成分もたっぷり摂れる。

サプリとしては日本でも比較的早くから一部ユーザーに愛用されてきた、スーパーフードのトップランナー。単細胞らせん状藍藻で、地球上にはなんと約30億年前に出現し、食物連鎖の裾野をがっちり支えてきた。
その魅力は何といってもタンパク質含有率の高さ。必須アミノ酸はすべて含み、β-カロテン、ビタミンB1、B2、B6、EとKも豊富だ。周辺の湖にかつてスピルリナが自生していたメキシコシティ一帯では、過去数千年間住民の主なタンパク源だったという。試したことのない人はぜひこれから始めてみるといい。
製法、製品にもよるが藻特有の風味はあるので、カレーや納豆のように主張が強かったり、粘り気のあるメニューにちょい足しで使うとハードルがぐんと下がる。

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açai / アサイー

ポリフェノールとアントシアニンで強い紫外線、ストレスと闘い抜く。

ここ数年、アサイーボウルが人気だから、経験済みの人も多いだろうが、たまに口にするだけではなく、食生活の中に定着させてほしいスーパーフードだ。
赤道直下のアマゾン流域が原産といえば、いかに強烈な紫外線と闘ってきたか想像できるだろう。アサイーは酸化ストレスをはね返すに足る、十分な量のポリフェノールとアントシアニンを蓄えている。この時期にはUVケアの一環としても積極的に摂りたい。
見た目の色は濃いが糖質は少なく、甘みも香りも希薄なため、他のフルーツと一緒にシリアルやドリンクに加え、成分をロスしないよう非加熱メニューでいただくのがベスト。日々のストレス対策としても役立ってくれるだろう。

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camucamu / カムカム

自然界で最も多くビタミンCを持つ、まさにスーパーなフルーツは非加熱で。

ビタミンCの含有量が全植物の中で最も多いことで知られるカムカム。その含有量を単純比較するとオレンジの30倍に上るというから、これもぜひ押さえておきたい一品だ。
ビタミンC以外にもフラボノイドをはじめ、抗酸化物質がたっぷりで、FDA(米国食品医薬品局)未承認ながら喘息、アテローム性動脈硬化症、白内障、風邪、歯周病など多数の疾患の改善にいいとする報告がある(米国農務省の科学者、ジェームズ・デューク博士の研究)。
酸味が非常に強いが、赤く完熟すると産地では生でも食べる。乾燥させた粉末はスムージー、ヨーグルトなどに混ぜるといい。写真のドリンクに焼酎を加えれば、爽やかでおいしい一杯が出来上がる。酒好きならお試しあれ。

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quinua / キヌア

穀物としてはタンパク質が非常に豊富。21世紀の主食と期待は高まるばかり。

きっちり水洗いをすれば、味や香りにクセはほとんどなくなり、白米と混ぜて炊いても手軽においしく食べられる。プチプチした独特の食感が楽しい。
栄養価は素晴らしく高く、タンパク質は玄米の2倍、鉄分とカルシウムにいたっては10倍。
必須アミノ酸も多く含み、白米だけでは不足しがちなリジンの補強に役立つ。なお、2011年の国連総会では、13年を国際キヌア年とする決議がなされている。
白米に混ぜるほかにも10~15分ほど茹で、湯を切ったものをチキンサラダに加えれば、三大栄養素を一皿で摂ることもできる。
脂質はほとんど不飽和脂肪酸で、豊富な食物繊維ともども悪玉コレステロールの低減にも役立つ。

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chia seeds / チアシード

食事に一皿加えれば腹持ちがよく、ダイエット期の調整食にも使える。

これは実験して、驚いてもらうほかはないのだが、チアシードは水を吸うと10倍くらいのゼリー状に膨らむ。ゼリーの正体はグルコマンナン、つまり食物繊維だ。そして、その中にたっぷりの水分を抱え込むから、ダイエット食品としても活用できる。
古代アステカ文明で知恵と力の種として愛用されたほど栄養価が高く、タンパク質はもちろん豊富。
料理をがんばらなくても、好みのドリンクやスムージーに入れるだけで、ミネラルやいつもの食事で摂りにくいオメガ3脂肪酸の補給につながる。
これも乾燥状態なら長期保存できるから、常温保存しておいて損はない。暴飲暴食をしてしまった人は、調整食のひとつとしても活用できるだろう。

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取材・文/廣松正浩 撮影/谷 尚樹スタイリスト/西﨑弥沙 取材協力・監修/森 弘子(一般社団法人日本スーパーフード協会) レシピ&料理作製/柴田真希(管理栄養士) 参考文献/『スーパーフード』(ディヴィッド・ウォルフ著、医道の日本社)、『スーパーフード便利帳』(いとうゆき著、二見書房)