【Tarzan】
数字でわかる、
筋肉強化のための雑学コラム。


筋肉がある人、鍛えている人は、そうでない人とどうカラダが変わる? 10年後、20年後の未来は? といった座学から、覚えて得する知識を数字を軸に展開。さあ、今から筋肉強化を始めよう!

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最初に取り組んだときには、もう死ぬかも、と思ったトレーニングも繰り返すうちに楽に行えるようになってくる。よって負荷も強度も上げていく必要がある。このときにキーポイントとなるのが食事。 「運動強度が上がると、消費されるエネルギーは変わってきます。糖質と脂質に加え、筋肉内のアミノ酸、BCAAが動員されるようになるのです」(管理栄養士のこばたてるみさん) BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンという体内では作ることができない必須アミノ酸の総称。この3つはエネルギーとして利用しやすいアミノ酸でもある。 それだけに血中のBCAAが不足すると筋肉がどんどん分解され、カラダはそこからBCAAをエネルギーとして利用しようとする。筋肉を作っているつもりが分解されてしまうのだ。これでは意味がない。 というわけで、BCAAサプリならトレーニング30分前に、食事なら3〜4時間前に動物性タンパク質を摂ることが不可欠。ランチはおにぎりとうどんだけじゃダメなんです。

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もし本気で筋肉を身につけ、脂肪を落とそうと願っているなら、運動は筋トレと有酸素運動の両方を取り入れる必要がある。 有酸素運動は、運動中ダイレクトにエネルギーを消費し、脂肪を燃やすタイプの運動。筋トレは運動中にさほどのエネルギー消費は見込めないが、運動後にじわじわとエネルギー消費が期待できる運動。 双方のメリットを取り入れることで、理想的なカラダづくりが可能になる。 とはいえ、両方同時に取り組む時間なんて、とても捻出できないという人も少なくあるまい。 そんな場合、まず手始めに筋トレを行うことをお勧めする。理由は、短いインターバルで筋トレを行うことで、ある程度心肺能力が底上げされるということ。 もうひとつは、全身の筋肉量が10%増えれば、基礎代謝そのものが5%程度増え、その分エネルギー消費量が見込めるからだ。まずは、目指せ筋肉10%増!

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ノルアドレナリンのほか、筋トレによって分泌されるもうひとつのホルモン、成長ホルモンもれっきとした脂肪燃焼因子。 筋トレ後に成長ホルモンが分泌されることはよく知られている。この成長ホルモンに脂肪分解作用があることが、最近の研究で分かった。 成長ホルモンの分泌がピークになってから約1時間後、脂肪分解のシステムが始動する。このタイムラグが生じるのは、 ノルアドレナリンのように直に脂肪分解酵素に働きかけるのではなく、成長ホルモンが脂肪分解を促すためにいろいろな手順を踏む必要があるから。 筋トレ後、2時間くらいしてから60分走るという実験では、後半の30分間、劇的に脂肪代謝がアップすることが分かっている。 なので、もっとガンガンに脂肪を燃やしたいという人は、まず筋トレを行い、すぐに30分の有酸素運動でノルアドレナリンの力を借りて脂肪燃焼。 2時間休んで再び30分の有酸素運動を行い、今度は成長ホルモンの力を借りてさらに脂肪を燃やす。これで完璧です。

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取材・文/石飛カノ 撮影/千葉 諭 スタイリスト/高島聖子 取材協力/石井直方(東京大学大学院教授)、こばたてるみ(食スポーツ)

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