【Tarzan】
これも生活習慣病の予兆? 気になる症状のウソ・ホント。


日頃、なんとなく気になるカラダのサイン。それってもしかして……。 そんな疑問の数々を集めて、専門家に投げかけました。大きな誤解も、小さな危険因子も、根こそぎこれで解決!

肉より魚の脂の方が生活習慣病の予防にはいい。[ホント]

「これは動物と魚の脂の性質の違いを考えてみましょう。豚や牛、鶏などの脂(飽和脂肪酸)は固体で、魚類の脂(不飽和脂肪酸)は液体のイメージがありますよね。
実際、動物も体内で35~40度の体温に守られている間は液状ですが、それより低い温度では固まってしまうわけです。 一方、魚は冷たい海を泳ぐ必要があるため、低水温でも脂が固まりません。固まりやすい動物の脂は体内に残り動脈硬化などを引き起こす恐れがありますが、液状の油はそのリスクが少ない。 この点から、魚の脂は生活習慣病予防に効果的といえるのです」(キッコーマン総合病院院長代理の三上繁さん)
不飽和脂肪酸は構造の違いからオメガ3、オメガ6、オメガ9に分類される。オメガ6は大豆油、オメガ9はオリーブ油などに含まれているが、魚類や緑黄色野菜、豆類など食事で摂りやすいのはオメガ3である。

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疲れてくると呂律が回らなくなるのは危険の兆候?[ホント]

十数年前、多忙を極めていた当時の小渕恵三首相(故人)が記者の質問に答える際に言葉が出なかったり呂律が回らない様子がテレビで流れ、その後脳梗塞で亡くなるというショッキングな出来事があった。
このように、呂律の変調がカラダの異変につながることは十分あり得るのだ。
「目が疲れると瞼が痙攣するのと同様、脳が疲れると呂律が回らなくなることはあります。これは疲れが溜まる午後に起こるケースが多いですね。 ほとんどの場合、たっぷり睡眠を取れば翌朝には回復するのですが、十分な睡眠を取っても呂律が回らない状態が翌日も続くときは医師の診察を受けた方がいいでしょう」
たっぷり寝ても呂律が一日で戻らない場合は一過性脳虚血発作の可能性が高いという。これ自体は文字通り一過性で危険性は少ないが、2~3回繰り返すと脳卒中や脳梗塞につながることも。 症状が表れたときは経過を注意深くチェックするべし。

原因不明の肩の痛みが。何かの病気では……。[ホント]

いつもの凝りとは異なる肩の痛み。そこには予期せぬ病気が潜んでいるかもしれないので要注意である。
「ひとつ考えられるのは、病気の原因部位と離れた部位に神経を伝って表れる放散痛。左肩の痛みは狭心症や心筋梗塞など心臓の病気、右肩の痛みは胆石など肝臓や胆囊の病気のサインである可能性があります」
あと、ごくまれなケースだが、肩から手にかけて痛みが走る場合は肺がんの可能性も考えられるという。
「肩こりや肩の痛みはほとんどの場合、筋肉痛で、基本的には心配無用なのですが、明らかに普段と違う場合は医師の診察をおすすめします」

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水を飲むと血液がサラサラになる?[ホント]

ひと昔前「1日に水を1ℓ飲むと血液がサラサラになる」というのが流行したが、本当にそんなことあり得るのだろうか?
「まず血液のドロドロ、サラサラというのは表現上のことで、ドロドロは血液中にコレステロールや中性脂肪が増えた脂質異常症を指します。 確かに水をたくさん飲めば血管内の水分が増えて一時的にサラサラになりますが、その水分はすぐ小便で出ます。 それに、絶えず水を飲むわけにもいきませんから、やはり普段の食生活で脂質異常症を防ぎましょう。ヒントは〝おさかなすきね〟です」
「お」はお茶、「さ」は魚類、「か」は海藻類、「な」は納豆などの大豆類、「す」はお酢、「き」はきのこ、「ね」はネギ。 これらの日本の伝統的な和食に使われている食材は血液をサラサラにしてくれるのだ。反対に、血液をドロドロにするのは動物性脂肪や砂糖といった食材である。
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取材・文/黒田 創 撮影/内田紘倫 スタイリスト/山口ゆうすけ ヘア&メイク/高松由佳(スチーム) イラストレーション/ホセ・フランキー
監修/三上 繁(キッコーマン総合病院院長代理) 撮影協力/ 東京マルイ(銃器)、広友リース(聴診器)