【Tarzan】
その不調の原因は、カラダの〝歪み〟です!


目が疲れる、息切れ、お腹が出てきた……歳のせいかな、と思っていたあなたの不調、実は歪みと深い関係が!

あなたは今日、どれくらいの時間、座って作業をしていましたか? 明日もその調子で仕事をするつもりですか? 自分がどんな姿勢をとり続けているか、自覚していますか?
カラダの左右差や動きのクセ、歪みの原因は数限りなくある。 とはいえ、現代人のカラダの歪みのステレオタイプ、それは背中が丸まり、首が前に出た猫背姿勢といってもいいだろう。 無意識に猫背姿勢をとり続けることによって、カラダにはさまざまな不調が引き起こされる。肩こり? 腰痛? もちろんそれは当たり前。
でも、そればかりではない。えっ、そんなことまで猫背姿勢による歪みが関係してるの? という事実、意外とみなさんご存じない。 体質だからと諦めていたその症状、年齢だから仕方ないと思っていたその不調、もしかしたら普段の悪姿勢による歪みがもたらしているのかもしれない。 まずは、思い当たるフシがあるそれぞれの症状にフォーカスしてみてほしい。カラダの歪みがいかにして、あなたの人生を不快にしているかが分かるはずだ。

膝痛

信号待ちをしているおじいさん、おばあさんがいたとしよう。その横に立って、カラダのラインを観察してみると、相当数が次のような状態になっているはずだ。 頭が前に突き出ていて、首から背中は丸まり、胸は内側にカールしている。 そのまま何もしないでいると、体重は当然、前方にかかって倒れてしまう。なので、カラダは無意識に背中側に荷重しようとして踵側に重心がかかる。
で、踵に重心がかかりすぎると、今度は安定が悪くて後ろ側に倒れてしまう。なので、カラダはまたまた無意識に膝を曲げてバランスをとろうとする。 立っているだけならまだしも、この状態で歩いたり走ったりすれば、曲がった膝に繰り返し余計な負担がかかり、痛みや骨の変形などにつながることもある。
おじいさん、おばあさんの話? いいえ、これあなたの話かも。

特定の側の捻挫、まめ、故障

カラダの左右前後の筋肉、骨格、動きがすべて均等という人間は、まずこの世にはいない。 持って生まれた体型、動きのクセなどによって、必ずどこかに偏りが生じるのはまあ当然。 その偏りが許容範囲以内であれば、一人ひとりの個性といってもいいだろう。
問題なのは、骨格を支える筋肉のうち、働かない部位と働く部位のギャップが大きすぎる場合。 過剰に働く部位にメカニカルストレスがかかり、やがてそれが不調となってカラダに表れてくる。 たとえば、骨盤の高さの左右差。左が低くて荷重されることで左側の筋肉は縮みっぱなし、逆に右側の筋肉は伸びっぱなし状態に。 放っておくと左足首の捻挫、まめ、故障がクセになる可能性大。

便秘

腹腔内の臓器は漿膜というハンモックのような膜で包まれて、吊り下げられている。 2本の脚で立っていること自体でも、内臓は下へ下へと引っ張られる運命にある。 そのうえ、背中が丸まった猫背姿勢ではなおのこと、内臓はひたすら下垂の一途を辿り、カラダは歪む一方。
胃が下がれば小腸も下がる。それらのプレッシャーを受けるのは大腸だ。結果的にそれぞれの臓器間のスペースがなくなって、ぎゅうぎゅう詰めの状態になる。 すると当然のこと、各臓器の稼働性は低くなる。大腸でいえば、便を押し出す蠕動運動がままならなくなるという具合。 食生活に気をつけているのに、いっこうに便秘が改善しないという場合、姿勢の悪さによる歪みが原因かもしれない。
ちなみに、痔という病気が見られるのは人間だけ。それほどに内臓は下垂の危機にさらされているということ、心しておこう。

肩こり

匕トの頭の重さは、およそ4㎏。バッグに入れて持ち運ぶには結構シンドイと感じる重量だ。 普段の生活でその重みをほとんど感じないのは、背骨と数多くの筋肉が協調して頭を支えているおかげ。 ところが、長時間のデスクワークで猫背姿勢による歪みが生じている場合、そうはいかない。猫背姿勢では自動的に首が前に突き出る。 そのまま放っておけば、頭の重みで上体はパソコンに突っ込んでしまう。
頭の重みを一手に引き受けて後ろに引っ張り、それを防いでいるのが肩の筋肉、僧帽筋の上部だ。 で、この部分が緊張しっぱなしになることで血行が滞り、老廃物が溜まって筋肉自体が硬くなってしまう状態が、いわゆる肩こり。 凝ったり張ったりという症状の次には、発痛物質などが生じることによる痛みの症状が表れる。 痛みが生じればカラダはこわばり、ますます血行不良に。これぞ負のループ。

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手先の冷え・しびれ

手の先が冷えたり、なんとなくしびれるような感覚がある。考えられる可能性のひとつは、胸郭出口症候群という病態。 鎖骨のすぐ下には第一肋骨が位置していて、その間を縫うようにしてさまざまなものが通過している。
たとえば、血管。たとえば神経。どちらも首筋から手先に向かって延びているものだ。 猫背姿勢で背中と胸が丸まるということは、胸郭が縮こまって、鎖骨と肋骨の間が狭まるということ。 血管が骨の間でぎゅーっと圧迫されれば、血行不良で手先が冷たくなる。神経が圧迫されれば、手先がしびれたり感覚が鈍くなる。
手先に違和感があるという人は、試しに仰向けになって両腕を真横に開いてみよう。 このとき、両手が床につかないという場合は、かなり重症。猫背姿勢による歪みの矯正がまず第一。それでも改善しない場合は、専門医のもとへ。

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取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗  スタイリスト/高島聖子(女性)、山口ゆうすけ(男性) ヘア&メイク/天野誠吾(女性) 
イラストレーション/横田ユキオ 取材協力/福井 勉(文京学院大学大学院教授)